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[労働経済]春季交渉「賃上げより雇用」鮮明 連合が方針決定

 来年の春闘方針を決める連合の中央委員会が3日、開かれ、深刻な雇用情勢を考慮し、定期昇給を上回る賃金改善の要求を5年ぶりに見送り、賃金水準の維持や非正規労働者の待遇改善を求めていくことを決めました。経営側は景気の先行きに慎重な見方をしており、交渉は難航も予想されます。

 中央委員会では、連合の古賀伸明会長が「デフレや円高が同時に進んでおり、経済や雇用の厳しい情勢を踏まえれば、春闘では賃金水準を低下させないことが基本だ」と厳しい認識を示しました。そして、来年の春闘では、勤続年数などに応じた定期昇給を上回る賃金改善の要求については、5年ぶりに見送り、雇用の維持や定期昇給の確保を最優先に取り組むことを決めました。定期昇給制度がない中小などの職場については、月額5000円以上の賃金引き上げを要求するとし、また、パートや派遣などの非正規労働者については、組合に入っていない人も含めて雇用の安定と待遇改善を求める方針で、賃金引き上げ要求の目安は時給30円程度とすることを決めました。来年の春闘は、連合と日本経団連のトップどうしが来月、会談し、本格的にスタートします。

 また、新日本製鉄やJFEスチールなど鉄鋼大手5社の労組は2010年の春季労使交渉で、賃金改善要求を見送る方針を固めました。各社の業績の低迷やデフレ傾向の強まりなどで、賃金改善を引き出すのは困難と判断したものです。一方で電機や自動車各社の労組で構成する産別組合は賃金改善で各社共通の統一要求を見送る方針で、製造業大手の来春の交渉は雇用確保が軸となる見通しです。

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