[判例]変形労働時間制認めず 残業代未払いで無効判決
忙しさに応じて労働時間を調整する「変形労働時間制」を理由に残業代を支払わないのは不当だとして、スパゲティ店「洋麺屋五右衛門」の元アルバイトの男性(28)が同店を展開する「日本レストランシステム」(東京)を相手取り、未払い残業代など約20万円を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であり、藤井聖悟裁判官は、同社に残業代や付加金など計12万3480円の支払いを命じました。
判決によると、同社では1か月単位の変形労働時間制を導入し、1日8時間を超えて働いた場合でも残業代を払いませんしたが、半月分の勤務表しか作っておらず、「労働基準法の要件を満たしていない」として、同社の変形労働時間制は無効とし時効分を除く残業代などの支払いを命じました。
労働基準法では週40時間、1日8時間以内の労働時間を基本としますが、変形労働時間制は、季節などによって忙しさに差がある場合などに適用でき、1カ月や1年など一定の期間について、週当たりの平均労働時間が法定労働時間以内(1日8時間、週40時間)であれば、特定の日や週が規制を超えた労働時間となっても、残業代を払わなくてよいことになっています。但し事前に労働日や労働時間を明示することが条件とされており、この男性は事前に説明を受けないまま、06年3月〜08年2月に変形労働時間制を適用されたとして、未払いとされた残業約420時間の割増賃金(25%)など20万9451円の支払いを求めていました。
男性の代理人の弁護士は「アルバイトにまで変形労働時間制を採り入れるのは、繁忙期の残業代の支払いを免れる目的以外には考えられない」と話しています。