[労働法]派遣添乗員の「みなし労働時間制」を認めず 残業代支払い命令
阪急交通社の子会社、阪急トラベルサポート(本社・大阪市)の派遣添乗員の女性(52)が、「みなし労働時間制」の適用は不当だとして、残業代約56万3千円などの支払いを求めた訴訟の判決が11日、東京地裁でありました。同社は「添乗員の労働時間把握は困難」と主張していましたが、「労働時間の把握は可能」として、鈴木拓児裁判官は全額の支払いを命じました。
女性は、阪急交通社に派遣され、国内旅行の添乗業務を担当していました。1日の労働時間は、休憩を除き所定労働時間8時間と所定外労働時間3時間の計11時間でしたが、会社側は「みなし労働時間制」が適用されるとして、残業代を支払っていませんでした。
会社側は「業務は事業場外で行われており、会社の指揮命令は及ばず、労働時間を算出することも困難」と主張していましたが、判決は、「添乗報告書や日報、携帯電話による確認などを総合して、会社側が労働時間を把握することは可能」としました。さらに、ツアー客に常に同行している添乗員は会社の指揮命令下にあるとして、2007年3月から2008年1月の残業代の支払いを命じました。また、会社が労働基準監督署の是正勧告に従わなかったことも指摘し、未払い残業代と同額の付加金の支払いも命じました。
阪急トラベルサポートの担当者は「業務の実態からかけ離れた判決で承服しがたく、控訴する」としています。