[年金・医療]高額療養費制度:高所得層負担増で必要財源減 見直しで新試算
厚生労働省は27日、患者の医療費負担を軽減する国の高額療養費制度で、患者の自己負担上限額を見直した場合の新たな試算を、社会保障審議会医療保険部会で公表しました。
70歳未満の患者の自己負担上限額(月額)について、年収約300万円以下を現行のほぼ半分にする一方、年収約800万円以上で約3万円、約1000万円以上で約10万円それぞれ引き上げるなどした場合、必要な財源は約2200億円になると示しました。
新たな試算は、加入者数が最も多い70歳未満の「一般所得者」のうち年収300万円以下の低所得層で上限額を4万4400円、支給4回目から3万5400円にする一方、年収約800万円以上の所得者は上限額を約18万円、支給4回目から10万円に引き上げると仮定しました。
さらに、年収1000万円以上の所得者は上限額を約25万円、支給4回目から14万円に引き上げると、前回試算から約360億円少ない約2200億円が新たな財源として必要になるとしています。
高額療養費制度の財源は会社員や自営業者らが負担する健康保険料と税金で賄われており、年収300万円以下の負担上限を下げると、健康保険料の引き上げや税金投入が必要になります。早ければ来年度中に基準を変更する方針ですが、このまま実現するかどうかは不透明です。
またこの日の部会で委員からは、所得に応じて上限額が異なる区分を増やすことに賛成する一方、保険者の厳しい財政状況から全額を国費でまかなうべきだとの意見などがありました。