[判例]時間外、月228時間 過労自殺に6590万円賠償命令
介護つき老人ホームなどを経営する会社に勤める男性(当時43)が自殺したのは長時間労働で発症したうつ病が原因だとして、遺族が勤務先と元社長に総額約1億1580万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、前橋地裁でありました。西口元裁判長は勤務先に約6590万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
判決によると、元部長は2003年10月に財務経理部長に就任。04年の事業規模拡大で仕事量が大幅に増え、土日や連休も出勤。6月ごろから不眠を訴えたり、朝食を食べられなくなったりしていたそうです。1か月の時間外労働は最大で約230時間に達しました。元部長は肉体的、心理的負担から、うつ病を発症し、04年8月に自殺したそうです。
判決は「極めて長時間の労働による疲労を回復できる休息は取れていなく、04年7月にはうつ状態が認められる」と認定。「仕事量が増大した男性を支援する態勢を整えないなど、会社側は大きな肉体的・精神的負担を加えており、健康悪化のおそれを容易に予見できた」と述べたたそうです。
同社側は「普段の行動からもうつ病を発症していたとは考えられず、自殺は予見できなかった」と主張しています。
判決を受けて、弁護団のメンバーで過労死弁護団全国連絡会代表幹事の松丸正弁護士は「男性の勤務は他に類をみない超長時間労働。判決は内容を適切に判断していて評価できる」と話したそうです。