[判例]消防職員の休憩 仮眠も労働時間
仮眠を含む休憩時間も労働時間として賃金を支払うべきだとして、尾道市消防局の元職員が求めた訴訟で、地裁は昨年11月、訴えを認め、時間外勤務手当など約154万円を支払うよう市に命じました。総務省消防庁によると、前例のない判決で、市は不服として控訴します。
1審判決によると、元職員の男性(62)は2005年10月から07年3月まで、119番などの通報を受ける市消防局通信指令課に勤務。当番日は午前8時30分からの24時間のうち、16時間が勤務。残り8時間は休憩時間ですが、火災発生時などは仮眠中でも通信指令室に駆け付けていました。業務命令なら時間外勤務手当が支払われますが、裁判では、そもそも休憩の全8時間が労働基準法の「労働時間」に当たるかどうかが争点でした。
判決は「休憩中も即時に対応できるように指示または要望されていた」ことや、「通報があった場合、命令を受ける前に指令室に移動していた」などと認定し「実作業に従事していない時間も含め、市の指揮命令下に置かれている」として、労働時間に当たると結論づけました。