[判例]「執行役員は労働者」労災不認定を取り消し
出張先で死亡した建設機械販売会社の執行役員の男性について、労働基準監督署が「執行役員は労災保険法上の労働者に当たらない」と遺族補償を不支給としたのは不当として、妻が処分取り消しを求めた訴訟の判決が19日、東京地裁でありました。青野洋士裁判長は、男性の勤務実態などから「労働者」と認め、処分を取り消しました。
原告側代理人の弁護士によると、執行役員を労働者と認定した判決は初めとのことです。
判決によると、男性は05年2月、出張先の福島県内で倒れ死亡しました。妻は船橋労基署に遺族補償の給付を求めましたが、労基署は労働者性がないことを理由に、死亡と業務の因果関係を判断せずに請求を退けました。
労働者性の判断について、青野裁判長は「会社の指揮監督の下に業務を行い、報酬を得ているかを実態に即して判断すべきだ」と指摘。その上で、男性が経営会議への出席を除き執行役員としての独自業務がなく、取締役会にも参加していないことなどから「実質的に一般従業員と同じだ」と結論付けました。