[労働法]ジェイフォン社員のうつ病自殺、労災認定へ―名古屋地裁
携帯電話会社「ジェイフォン」(現・ソフトバンクモバイル)の社員(当時56歳)のうつ病による自殺は過労が原因だったとして、妻(64歳)が国に労災認定を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は2011年12月14日、原告側の訴えを認め、遺族補償年金を不支給とした名古屋西労働基準監督署の処分を取り消しました。
判決で田近裁判長は、亡くなった社員(当時56歳)が経験のない業務を任され、時間外労働が約100時間に上る月もあったと指摘し、「業務は質的、量的に過重で、日常的に多大な心理的負荷を与えた」とうつ病発症との因果関係を認めました。
その上でうつ病の症状が悪化していった経緯を説明し、自殺直前に会社が命じた異動についても、「やむを得ず承諾したことも相まって、うつ病が決定的に増悪し、自殺に及んだと推認できる」と判断しました。
原告代理人の弁護士によると、うつ病の発症後も長期間にわたって勤務を続けた社員の労災が認められるのは全国で初めてとのことです。
名古屋西労働基準監督署は2009年4月に「業務による強い心理的負荷は認められない」として労災を認めず、遺族補償年金の不支給を決定しました。遺族と会社側は2009年6月に名古屋高裁で和解が成立しています。