[年金・医療]年金、12年10月から物価下落分を反映 社会保障改革案を決定
政府は2012年12月20日、年内をメドにまとめる社会保障と税の一体改革素案のうち、社会保障改革案を決めました。過去の特例措置で支給額が本来の水準より高くなっている年金は、来年10月分(12月支給)から減額して、本来の支給水準に戻すことを明記しました。外来患者に受診1回あたり100円の追加負担を求める制度の導入など、一部の負担増となる改革は民主党の意向で見送りました。
16日に民主党の社会保障と税の一体改革調査会(細川律夫会長)が社会保障改革の内容を固めたことを受け、厚生労働、財務など関係5大臣が会合を開き、政府の社会保障改革の素案骨子を決めました。20日からは消費税の引き上げ時期など税制論議を本格化させます。
年金は物価変動に合わせて支給すると法律で決まっていますが、特例を設けて物価下落分を反映していない時期があったため、現在の支給額は本来より2.5%多くなっています。支給額は2014年度までに本来の水準に戻すということです。ただ、これまで過剰に支払った分は減額しません。
社会保障改革の多くは消費税の引き上げと同時に実施します。基礎年金の平均年額に達しない年収65万円未満の高齢者には、年金を月額1万6千円加算します。幼稚園と保育園を一体化して「こども園」をつくり、若い世代の子育て支援を拡充を狙います。
一方、高額医療の患者負担軽減策の財源として想定していた100円の追加負担は、民主党の反対が強く盛り込まれませんでした。このため、高額医療の負担軽減は規模を縮小し、年収300万円以下の人を対象にします。70〜74歳の医療費の窓口負担割合を1割から2割に引き上げることも民主党の反対が強く、来年度は実施しない方針です。