[労働経済]最低賃金より高い生活保護、6地域で残る
2012年度の最低賃金では、生活保護の受給額より最低賃金で働いた場合の手取り額が少ない「逆転現象」が、北海道や東京など6地域で残りました。逆転していた11地域のうち、解消したのは青森など5地域にとどまりました。労働側は「働く意欲が低下する」として逆転現象の早期解消を求めますが、時間はかかりそうです。
逆転している地域は減少する傾向にありました。しかし、都市部の賃貸住宅に暮らす若い世代に生活保護の受給者が増えたことなどで生活保護費が大きく増えました。このため逆転する地域が増えています。
逆転が残った6地域では2年以内の解消をめざすことで、労使が一致しています。ただ、最低賃金は全国平均で10年前の663円から86円上がっています。経営者側には「中小企業の経営は厳しく、すぐに逆転を解消できるほどの大幅な引き上げは難しい」との声も残っています。
今回、最低賃金の上げ幅が最も大きかったのは北海道と大阪の14円です。生活保護と最低賃金の逆転幅の縮小を狙いましたが、それでも今年度は逆転を解消できませんでした。最低賃金の引き上げだけでなく、生活保護の見直しも必要になりそうです。