賃金不払残業(いわゆるサービス残業)とは
賃金が支払われない時間外労働や深夜、休日労働のことをいいます。
サービス残業には
- (1)賃金を支払っていないこと
- (2)長時間労働の温床ともなる
といった大きな2つの問題があります。
厚生労働省では、平成13年4月に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」、平成15年5月には、「賃金不払残業総合対策要綱」を策定し、その一環として「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」を通達しており賃金不払残業(いわゆるサービス残業)の解消に力を入れてきています。
サービス残業を解消するためには労働時間の管理・賃金の計算方法といった点に注意する必要があります。
事業主は、労働者を使用している以上、労働時間の把握をし、法定労働時間を超えて労働させた場合には割増賃金を適正に支払う義務があります。
【ペナルティー】
労働基準法第32条では、法定労働時間の1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならないと定められています。この法定労働時間を超えて労働させるためには、同法第36条で定められた労使協定を締結し、所轄労働基準監督所長に届け出る必要があります。
また、同法第37条で定められた率以上の率で計算した割増賃金の支払が義務付けられています。
このように時間外労働をさせた場合、割増賃金を支払わなければいけませんが、この割増賃金を支払わずに時間外労働をさせることを「サービス残業」とか「賃金不払い残業」といいます。違反した場合は6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金という罰則が設けられています。(同法第119条)
【過重労働の問題】
安衛法第3条(事業者等の責務)
事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。
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となっており、会社には、従業員の健康、従事する業務を適切に管理する義務があります。長時間労働という問題を防ぐためには従業員が長時間労働や深夜労働にならないように、適切な業務量を会社及び所属長が把握し管理する必要があります。
法定の計算方法
(通常の労働時間に対する賃金の計算額の法定率以上の割増賃金)
(1)1時間当りの賃金額×(2)時間外労働などの労働時間×(3)割増率
(例 時給1,000円×時間外労働15時間×1.25=18,750円)
【(1)の1時間当りの賃金額の主な定め】
- 時間によって定められた賃金については、その金額
- 月によって定められた賃金については、その金額を月の所定労働時間数で割り算した金額(*月によって所定労働時間が異なるときは1年間における1月平均所定労働時間数でもよい)
- 日によって定められた賃金については、その金額を1日の所定労働時間で割り算した金額
- 月額賃金と日額賃金を受ける場合などはそれぞれを合計した金額
(例1)
{基本給(月額20万円)+職務手当(月額3万円)+皆勤手当(月額8,000円)}÷170時間(1か月平均所定労働時間数)=1400円
(例2)
時給(800円)+{皆勤手当(月額6,800円)}÷170時間(1か月平均所定労働時間数)=840円
時間外労働・休日労働が深夜(午後10時から午前5時まで)におよんだ場合の割増率
時間外労働・・・1.25 時間外が深夜におよんだ場合・・・1.5
休日労働・・・・1.25 休日が深夜におよんだ場合・・・・1.6
深夜労働・・・・0.25
次に掲げる以外の手当・賃金以外は全て割増賃金の算定基礎賃金に算入します。
(割増賃金の算定基礎賃金から除外される賃金)
(1)家族手当 (2)通勤手当 (3)別居手当 (4)子女の教育手当 (5)住宅手当 (6)臨時に支払われる賃金 (7)1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金