[年金・医療]企業年金運用利回り、08年度は最悪、2010年度の公的年金額は据え置き濃厚
企業年金連合会の調べによると、企業年金全体の2008年度の運用利回りがマイナス17.8%と過去最悪だったことが2日分かりました。運用資産全体の3割超を占める株式の価格が世界同時不況の影響で低迷したのが主因で、マイナス運用は2連連続。今後積み立て不足の穴埋めを迫られる企業の業績圧迫要因になりそうです。
2008年度の運用利回りは07年度に比べて7.22ポイント低下し、調査を始めた1984年度以降で最悪となり、これまで最も悪かった02年度(マイナス12.5%)を5ポイント以上も下回りました。
企業年金の中には従業員への給付水準を維持するため、予定利率(目標利回り)を5.5%など高めに設定しているところもあり、こうした企業年金は逆ざやを回避するため、株式などで積極運用する傾向が強く、相場低迷時には運用損失が膨らむ傾向にあります。2008年度は企業年金全体で国内外の株式を33.6%保有していました。
また2010年度の公的年金額は増額にならない見通しです。年金額は物価動向などを考慮して毎年度改定することになっていますが、09年の消費者物価指数(CPI)は下落傾向が続いており、厚生労働省は年金額を今年度比「据え置き」とみています。ただ今後物価がさらに下がるようなら、減額になる可能性は残っています。
国民年金や厚生年金の支給額は、年金受給者の生活水準を維持するため、生鮮食品を含む全国消費者物価指数や現役世代の賃金動向などを反映させる仕組みがあります。2009年のCPIは1月に前年同月比横ばいでしたが、2月以降は前年を下回っており、8月はマイナス2.2%でした。賃金も夏のボーナスカットなどで下落傾向にあります。