[労働経済]定昇維持めぐり応酬 春闘スタート
日本経団連の御手洗冨士夫会長と連合の古賀伸明会長の労使首脳が26日に会談し、今年の春闘の労使交渉が実質的にスタートしました。経団連が、定期昇給の凍結も視野に入れた賃金抑制の姿勢を示したのに対し、連合は統一のベースアップ(ベア)要求は見送ることを決めたものの、定期昇給(定昇)維持は死守する構えを強調しました。
3月中旬の集中回答日に向け、厳しい交渉が予想される。一方で、学生の就職内定率が低下していることから若者の雇用安定へ労使で協力することで一致した。
御手洗会長は、日本経済は「危機的状況は脱しつつあるが、依然として予断を許さない状況が続いている」との認識を示し、「最重要課題は雇用の安定だ。(賃金は)企業の経営実態や支払い能力を踏まえて考える」と述べました。経団連側は企業の経営状況によっては、定期昇給(定昇)の是非も議論の対象になるとの考え方を示したことになります。
これに対し、連合の古賀伸明会長は「定昇は長年、労使間で積み重ねてきた制度であり労使の信頼関係の根幹だ」と述べ、賃金水準の維持を徹底して求めていく考えを強調しました。定昇が維持できるかどうかが今春闘の大きな焦点となりそうです。
また、古賀会長は「非正規労働者を含むすべての労働者の処遇を交渉のテーマとする」と述べ、連合として初めて非正規雇用労働者を含むすべての労働者の労働条件の改善に取り組む考えを表明しました。
今後、各労組が2月までに要求をまとめ、3月中旬の大手企業の一斉回答に向けて労使交渉が本格化します。