[判例]故人の行政訴訟でアスベストによる労災認められる
労災による死亡の不認定取消しを国に求めた静岡地裁での行政訴訟で、故人の検査済の細胞を再検査する「細胞診」の手法で中皮腫と確定、国がアスベスト(石綿)による労災と認めていたことが分かりました。原告は実質勝訴し、訴訟を取り下げました。
「細胞診」は腹や胸部にたまった水の細胞を観察して中皮腫を診断できる場合がありますが、今回のように、裁判の行方を左右したのは初めてとされています。
原告は富士市の男性の遺族で、男性は1958~97年に石綿関連会社に勤務し、01年に63歳で亡くなっており、死亡診断は「がん性腹膜炎」でした。
遺族は06年に労災補償を請求しましたが、富士労働基準監督署が不支給を決定、遺族は2度の行政不服審査でも棄却され、08年に静岡地裁に提訴していました。