[判例]高裁も労災認定 NTT社員死亡
NTT東日本に勤めていた奥村喜勝さん(当時58)が心臓病で急死したのは、長期の宿泊研修を強いられた過労やリストラに伴うストレスが原因だとして、遺族が労災の不支給処分の取り消しを国に求めた訴訟の控訴審判決が10日、札幌高裁でありました。
井上哲男裁判長は「業務によるストレスで持病が悪化し、死亡した」と認定。労災と判断して請求を認めた一審の札幌地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却しました。
奥村さんは心臓に持病があり、NTTの規定で残業や宿泊を伴う出張を命じられなくなりましたが、NTTグループの「事業構造改革」で2002年4月から異なる業務の担当になり、東京や札幌で約2カ月の宿泊研修に参加を強制されました。
研修先から一時帰宅していた2002年6月、奥村さんは心臓病で急死しました。遺族は2003年3月、旭川労働基準監督署に労災認定を申請しましたが、監督署側は残業などの長時間労働がないことを理由に認定しませんでした。
奥村さんの死を巡っては、遺族が2003年に、同社に損害賠償を求めて提訴。同社に約1660万円の賠償を命じた判決が確定しています。