[労働経済]最低賃金、時給6円引き上げ 平均736円に
厚生労働相の諮問機関「中央最低賃金審議会」の小委員会は2011年7月26日、最低賃金(現行時給平均730円)の引き上げ目安額を全国加重平均で6円と決めました。現行制度になった02年度以降、過去最高の引き上げ幅となった前年度の17円に比べ、今回は東日本大震災の影響から小幅にとどまりました。
今月始まった小委員会の議論では、労使の代表が震災の影響を巡って対立。「被災者の暮らしや復興支援のためにも大幅アップが必要」と主張する労働組合側に対し、経営者側は「震災で経済への打撃が懸念され引き上げは被災地を含む地方の企業の存続を脅かす」と真っ向から反論。25日夜から始まった4回目の小委員会も12時間以上の応酬が続きました。
一方、現状では地域によって最低賃金より生活保護の給付水準(生活扶助、住宅扶助の合計額)が高い逆転現象が起きており、労働意欲の低下を招きかねないとして、その差の解消も同審議会の課題となってきました。厚生労働省によると逆転は現時点で、北海道、宮城、埼玉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、広島の9都道府県で起きています。小委員会は、都道府県をA〜Dの4ランクに分けて検討。引き上げ額をAランクの東京、千葉、神奈川、愛知、大阪の5都府県で4円、その他B〜Dランクを1円としました。最終的な都道府県ごとの引き上げ額は、逆転現象を別途考慮して決定されます。
民主党は衆院選の政権公約で「全国平均1000円」を掲げており、政労使の代表は中小企業支援などを条件に「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ全国平均1000円を目指す」と合意。10年度の最低賃金は全国加重平均で前年比17円増の730円と過去最高の上げ幅となっていました。